インタビュー Vol.1:理事長 高山成吉のインタビュー記事、第1回目を掲載しております。

医療法人 周友会徳山病院

月~金(土・日・祝日は休診)※受付時間は診察終了時間の30分前まで

午前8:30・12:30

午後13:30・17:00

〒745-0868 山口県周南市南浦山町5番14号

TEL:0834-21-3750(代)

FAX:0834-21-0482

〒745-0868 山口県周南市南浦山町5番14号

月~金(土・日・祝日は休診)

午前8:30~12:30

午後13:30~17:00

MENU

〒745-0868 山口県周南市南浦山町5番14号

TEL:0834-21-3750(代)

月~金(土・日・祝日は休診/※受付時間は診察終了時間の30分前まで)

午前8:30~12:30

午後13:30~17:00

月~金(土・日・祝日は休診)※受付時間は診察終了時間の30分前まで

午前8:30~12:30

午後13:30~17:00

医療人として「患者さん・ご家族を援助する」こと、働く環境として「志を合わせ、ご自身の人生のイニシアチブをご自身で握っていける」こと周友会はそうありたいと考えております。

インタビュー

M3.com 【山口】コロナ禍でも業績好調、新病院での新規事業でさらなる地域貢献を‐高山成吉・徳山病院理事長に聞く Vol.1

慢性期の患者が病棟の大半を占め、病床稼働率が70%以下だった医療法人周友会徳山病院(山口県周南市)。崖っぷちの状況から、わずか3年で病床稼働率100%にまで引き上げたのが2014年2月に理事長に就任した高山成吉氏だ。革新的な経営手腕により、見事に病院再生を実現した軌跡をインタビューした。(2021年8月20日オンラインインタビュー、計2回掲載の1回目)

――高山先生の着任以前の徳山病院について教えてください。

徳山病院は、1952年に外科・内科・小児科・耳鼻科などをもつ企業立病院として開設されました。一時は地域の中核を担う病院として機能していましたが、年々経営は厳しくなり、私に運営の打診があった2015年頃には不名誉な病院になってしまっていたのです。78床ある一般病床の大半は慢性期の患者さまであり、稼働率は65.9%。業績という面でも非常に厳しい状況でした。

――業務改革にあたって、具体的にはどのようなアプローチを。

まずは法人理念「私たちは患者さん、ご家族を援助します」を新たに掲げ、病院として、また医療人として、本来あるべき姿への回帰を誓いました。

私自身は地域に必要な医療機関となるために、地域にある100件近くの病院やクリニック、介護施設、老人ホームなどを訪問しました。医師会の先生方一人一人にご挨拶に回ったのですが、いわば「飛び込み営業」ですよね(笑)。もちろんすぐに信用していただけるはずはありません。それでも理念をお伝えして、お困り事やご意見を頂戴し、その改善のために何かお役に立てないかを必死に考えました。それが病院改革のヒントにもなったのです。約2カ月間かけて街中の医療機関をまわり切り、医師会に入会する頃には、みなさんと顔見知りになっていました。少しずつ打ち解けることで、その地域で必要とされている病院、即ち使い勝手が良く周辺の医療機関及び介護施設などのニーズに対応しながら、同時に国の医療政策に合致する医療機関を目指しました。

改革の一つが、当日依頼の入院の受け入れです。通常、病院間の入院・転院の手続きには簡単なペーパーで依頼内容を確認し、入院受入れの判断が必要ですが、私たちは電話一本で「今すぐどうぞ」と受け入れました。かかりつけ医の先生方との信頼関係は構築できていたので、診療情報提供書などは後回しでも十分に間に合うからです。大規模な病院や公立の病院では望めない「スピード感」を優先させた医療を展開したことで、患者さまを送ってくださる先生が徐々に増えていきました。容態が安定して退院となれば患者さまをすぐにかかりつけ医の先生にお返しします。こうして地域の中の病院としての新たな立ち位置を確立できたのです。

――病院再生において、特に大きな転換をもたらした改革を教えてください。

「生活の場」から「治療の場」への方針転換です。改革前は慢性期の患者さまが大半を占め、言葉は悪いのですが「患者さまを生かすだけの病院」になってしまっていました。これでは本来のあるべき姿とは到底言えません。「病院は治療の場である」という考え方から、医療への依存度が少なく、症状が比較的安定した社会的入院と思われる患者さま(特に医療より介護が必要とされる場合)の在院日数を短縮化。平均在院日数は一般病棟で30日。療養病棟でも60日~80日程度と定めました。

――改革を進めるうえで立ちはだかった壁はありましたか。

終末期医療、そして延命治療をどう考えるかは課題でした。私はがんを専門とする外科医であり緩和ケアや老人医療も経験してきたなかで、数々の告知と看取りを経験しました。その「命」や「死ぬ権利」「生きる権利」は若い方 であっても高齢者であっても平等です。本人には家族にそれを委ねる権利と義務があります。

よく、医師が患者さまの家族に「どうされますか」と問うシーンがありますが、そんないい加減なことがあってはなりません。ご家族は「最善を尽くしてほしい」に決まっているからです。今の医療ではこの最善の選択肢がいろいろとあるので、医師として病院としての見解を伝えることが大切だと考えています。大切なのは患者さまご本人の意思ですし、それはできるだけ自然で、苦しみの少ない最期だと思います。医師、医療人は、そのことをご家族に伝える義務があると考えています。

当院で伝えている終末期医療、延命治療の考え方は必要以上の点滴をしない緩和ケアです。具体的には永続的な栄養補給のための高カロリー輸液の投与や胃瘻の造設をしないことなどを確認しています。体が衰弱して機能を失っているにも関わらず点滴をし続けると、排出する機能もない体には水が溜まり、その水が胸にいくと胸水になって、最悪の場合、生きながら溺れるような感覚に苦しんで逝くことになってしまうからです。そうなればご本人もさることながら、看取るご家族も苦しい思いをしてしまう。そのリスクをお伝えしたうえでも延命を希望される方には、その方の希望にあった病院をご紹介するようにしています。当院を希望される方には、患者さまとご家族にご理解をいただいたうえで最期の時まで緩和ケアを進めます。

――これらの実現には医師や看護師など職員の方々の協力が必要不可欠だったと思います。どのように周りを巻き込んでいったのでしょうか。

理事長に就任する前年から、全職員に法人理念「私たちは患者さん、ご家族を援助します」を共有し、当院が目指すべき病院の姿を明示しました。全体で140人以上もの職員がいる中、一度に12人ほどを集めて3時間の理念講習会を実施し、一人一人の意識改革からスタートしたのです。医師や看護師、薬剤師、コメディカルスタッフだけなく、給食や清掃の業務に携わっている方々にも受講してもらいました。

というのも、患者さまからいつ誰がどこで何を相談されるかはわからない。よく、重要なことほどすぐそばに居る身近な人ではなく、見ず知らずの占い師に相談したりするじゃないですか。人は関係性が薄ければ薄いほど相談しやすい、というのも事実だと思うんです。患者さまもいつも顔を合わせている医師ではなくて、1日に1回掃除にくるおばちゃんに「あのさ、実はね……」と言うことがあるかもしれない。それが生と死に関するシビアな話だった時に、受け止め方や答えられる訓練をしていれば何かあった時に対応ができると思い、全員参加の理念講習を行ったのです。

また、共通言語を学ぶのも講習会の特徴です。例えば「ケア」という言葉。同じ「ケア」でも10人いれば10人それぞれにイメージがあります。カンファレンスで「〇〇のケアをしていきましょう」という時にそれぞれの「ケア」のイメージが違うと、バラバラなことをしてしまう可能性があります。われわれの法人では、「ケア」や「援助」といったキーワードを設定して、言葉の定義を共通認識としています。全ての改革は、こうした職員一人一人の意識改革 からスタートしたと言っても過言ではありません。

vol.2へ続く

Vol.2はこちら
Web公開記事はこちら(要会員登録)

関連医療機関・福祉施設などRelated Medical Institutions

トップへ